金は、研磨すると表面が荒れてしまう可能性もあるので、極力磨かなくても済むよう、各工程での取扱いに配慮します。オーダーメイドのように一枚一枚丁重に作り上げています。
「999」のモダン部分には、「縄手」という機構を採用しています。細い金の芯に、3本の金の線を右巻きに巻き付け、これを精芯機という機械で叩いて目を詰め、専用の鉄棒に巻き付けて引っ張ることで、弾力性を持ったしなやかなカーブを生み出しています。職人がこの工程を何度も検証し、繰り返し行った末に縄手は完成しました。
リム部分のセル巻は、薄いセルを曲げて巻き付けることで作られています。金とプラスチックの接合では馴染みにくく剥離しやすくなってしまうので、ただ巻き付けるだけではなく、接着またはピンで機械的に留めています。
バネ性を理解した上で、バネのしなる領域をコントロールしながら調整していきます。